さらに根室まで二時間半

2011.10.22

我々の旅は、この釧路では終わらない。「根室本線」の名に敬意を表し、終点の根室まで行くつもりである。ただ、これより先の根室本線は「花咲線」という愛称で呼ばれている。乗り継ぎ列車は、釧路17時55分発の根室行普通5639D列車だ。その5639Dは、花咲線としては長い編成のキハ51形ディーゼルカー二両で、札幌からの特急「スーパーおおぞら7号」の乗客を受け定刻に釧路の駅を発車した。乗客は五〇人ほど、出張帰りのビジネスマン風の人もいる。滝川口と同じく釧路以東も特急は走らないから、猫も杓子でも普通列車に乗るという寸法である。すでに陽は沈み、窓外は薄暗い。釧路の街灯りがだんだんと後ろに遠ざかり、東釧路、武佐、別保と進めば、もう家の灯りも見えなくなった。釧路と根室の間の約一三〇キロは、北海道でも有数の人口希薄な地帯で、その間にある街らしい街といえば厚岸ぐらいしかない。それも人口は一万そこそこ。そもそも終点の根室自体も三万人強である。戦前は千島における漁業の基地として活況を呈した根室ではあったが、有望な漁場を“ロ助”に奪われて以来、衰退著しい。何もない闇のなかを、我が最果て鈍行は東へ、東へ、とひた走る。こんな時間にこんな線に乗るなど我ながら道楽がすぎるとは思う。

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